残業代請求の時効と中断方法!今すぐわかるポイントは

この記事では、残業代請求の時効と中断方法について解説します。
未払いの残業代を会社に請求する、残業代請求。ですが、さかのぼって請求できる期間は、原則として2年間です。労働基準法により、未払い分の賃金は時効によって2年で消滅すると定められているためです。

とはいえ、2年経ったら、無条件で絶対に時効が成立し、残業代が請求できなくなる…という事ではありません。ケース・バイ・ケースで、一人一人の事情により異なります。

この“一人一人の事情により異なる”というポイントが、残業代請求を自分で行うことの難しさにもなるのですが、まずは仕組みを簡単にチェックしていきましょう。

残業代請求の時効は、退職から2年ではない

残業代請求に力を入れている弁護士が、「勘違いしている人が多い」と注意喚起しているポイントです。

“残業代請求の時効は2年”となっていますが、これは“退職後2年”ではありません。毎月の給料日のたびに、2年前のその月に払われるはずだった未払い残業代が、時効で消えていってしまいます。

退職後に残業代を請求する場合、退職してすぐに手続きを行えば、過去2年分が請求できます。ですが、退職後に1年経ってから残業代請求をすると、1年分しか請求できないことになります。

残業代請求は、スピードが勝負と言えるでしょう。
ですが、次に説明する“時効の中断”が発生していた場合は、この限りではありません。

残業代請求の時効の期限日は、時効の中断で延長される

残業代請求の時効は、“時効の中断事由”が発生すると、それによって中断されます。そして、“中断されてから2年”が、時効の期限日となります。

“中断”というと、一時停止のイメージがありますが、実際に起こるのは“時効のリセット”です。すごろくで例えるなら、「その場で休み」ではなく「ふりだしに戻る」となります。

この“時効の中断”を起こす事柄を、“時効の中断事由”と呼びます。時効の中断事由には、主に次のものがあります。(民法第147条)

  • 請求
  • 差押え、仮差押えまたは仮処分
  • 承認

残業代請求の時効を中断させる方法1:【請求】

「請求」といっても、たんに口頭や書面で「払ってください」と伝えるだけでは、時効の中断事由になりません。

“裁判所に、残業代請求の申し立てをすること”が、ここで言う請求となります。
訴状を提出した時点で時効が中断となります。

ただ、裁判所に訴状を提出…といっても、テレビドラマなどでイメージする“裁判”になるとは限りません。法廷での審議を行わない「支払い督促」や、最短即日で結審する「少額訴訟」、書類を提出するだけで済む「支払督促」など、簡単な裁判手続きもあるためです。

残業代請求の法的手続き「労働審判」について

残業代請求で裁判所に申し立てを行う場合、「労働審判」という手続きになる事も多いようです。

これは、裁判所で「労働審判委員会」を間に挟み、話し合いを行うことです。この労働審判の申し立てでも、時効が中断されます。

内容証明郵便による催告と時効の中断

「残業代請求の時効は、内容証明郵便を送るだけでも中断できる」と理解している方も多いようですね。

確かにその通りとも言えるのですが、実はこれは正確ではありません。
内容証明郵便を送ると、「催告」となり、6か月間は時効がストップします。これは“時効の中断=リセット”ではなく、あくまで“一時停止”です。

この6か月間の間に、証拠集めや未払い残業代の計算などの準備を行い、交渉によって未払い残業代を取り戻す方法もあります。(ただし、この交渉も自分ではまとめられない事が多いため、弁護士や司法書士に依頼するほうが良いでしょう)。

残業代請求の時効を中断させる方法2:【差押え、仮差押えまたは仮処分】

裁判を行って勝訴し、それでも相手が払わない場合に、「差押え、仮差押えまたは仮処分」といった手段を取ることができます。
こうした手続きも、時効の中断事由となります。

ただ、残業代請求でここまで行くことは、ほとんど無いと言われています。また、裁判を起こした時点で時効は中断されるので、「これから残業代請求を行いたい」という人は、あまり意識しなくて良いポイントでしょう。

残業代請求の時効を中断させる方法3:【債務承認(承認)】

こちらは、ある意味でもっとも簡単な時効の中断方法です。使用者(会社、職場などの雇用者)が、「未払いの残業代があることを認める言動」をすれば、それだけで時効の中断事由となります。

これは、「存在を認める」だけで良いので、支払いの意思があるかどうかには関係ないのが、一つのポイントです。

  • 「あとで払うから待って欲しい」などの発言
  • 「経営が苦しくて払えないから我慢してくれ」などの発言
  • 少額でも一部だけの支払い

こうした言動でも、債務の承認があったと認められ、時効の中断となります。

注意したいのは、単に「あの時言われたから」というだけでは、時効を中断させるには足りないということです。発言の証拠がなければ、「言った、言わない」の水掛け論になってしまいます。

ですから、債務承認をとれるように録音をしておいたり、やり取りを書面やメール、FAXで行うなど、“記録・証拠が取れるように”工夫しておきましょう。

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